06 June, 2011

Groupon使って利益をあげる上で重要なこと






最近、GrouponがIPOするやらGoogle Offersが始まるやらでGroupon系のニュースが非常に多いのですが、そんな中、ReadWriteWebがGrouponに関するアカデミック・リサーチからの示唆のまとめていたのでご紹介。

Groupon利用を考えられている企業さんやこの分野への参入を考えられている方には参考になる情報かと。

以下、拙訳。(気になる方は下部に掲載した原文を御覧ください。)

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Group Buying系サービスの近年の興隆は「めざましい」というほかにない。(Yipitという会社による調査によれば480も存在するとのこと。)

Rice UnivertyのUtpal Dholakia教授によるリサーチでは、Group Buying系サービスに参加したプロモーションのうち、66%は利益を上げる一方、32%は利益をあげていなかったとか。その32%のプロモーションについてさらに調査すると、そのようなプロモーションはGrouponユーザーによる利用率が低く(25% 対 50%)、成立した場合のリターンの比率も低かった(13% 対 31%)。

さらに興味深いことのそのように失敗したプロモーションを実施してしまった企業のうち、82%がGrouponを再度利用していたこと。(とはいえこの数字はGrouponが公表しているサービスの再利用率97%よりは低いが。)

このリサーチからDholakia教授とHarvard Business Schoolの研究者たちがそれぞれに論文を発表しており、HBSの論文は「顧客のデモグラフィックとクーポンの内容がいかに利益の上がる割引を作るようなインタラクションを発生させているか」に焦点を当て、一方のDholakia教授は線形回帰を用いた仮説検証型論文で、5つの仮説について検証した。そして、それらの結果をまとめると以下のようになる。

1. 理論的にはGroup Buying系サービスを企業が利用するメリットは2つある

まず1つはディスカウントがそれぞれのユーザー層に適切な価格を提供することで価格がより流動的になる。より利益をあげるクーポンは、顧客全体よりも価格変化に敏感な層の目を引くものでなければならない。第二に、ディスカウントクーポンはその広告効果によって企業認知を高めるというメリットがある。このような広告効果が重要になるのは、より潜在顧客における認知が低い企業の場合である。


2. クーポン利用者が額面以上支出することはその後の利益とは関係がない

Dholakia教授は論文中でより利益のあがるクーポンとなる確率を上げる次の3つの仮説について検証した。
A) 新規顧客獲得効率
B) 当該クーポンの額面価格より多く支出する
C) 割引のない場合でもリピーターとなる

興味深いことにAとCは利益の高いクーポンとなることと関連があったが、Bは関係がなかった。


3. より高い額面価値と有効期間は新たな顧客獲得に貢献するが、ディスカウント額はそうはならない

Dholakia教授の研究データに基づくと、額面価格とその有効期間は新規顧客を獲得するにあたって非常に重要だが、ディスカウント額にはそのような関係は見られなかった。従って、より高価な製品・サービスについて少額の割引を用意することがGrouponを利用し、利益を上げる秘訣となる。


4. 可能であれば、複数の割引を使用可能にしてはいけない

HBSのモデルでは、顧客がいくつかのクーポンを購入することのインパクトについて検証されていた。これは当該企業のGroupon利用が利益を上げずに終わってしまうことに直結するわけではないが、同時に購入することを許可することは好ましいことではない。(これはGrouponを使って顧客を獲得したい企業にとっては避けがたいことだが)


5. 従業員の満足度が顧客のリピートを促す

Grouponを利用している企業の従業員の満足度と利用顧客のリピートの関係を調べたDholakia教授の仮説を線形回帰モデルで検証したところ、この2つの間には強い相関が見られた。これまでにも従業員の満足度は顧客の満足度に繋がるという研究が多くなされてきたが、この関係がGrouponにおける成功に関しても見られるというのは非常に興味深いところだ。

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久々にLinear Regressionみたいな単語を見かけて若干テンション上がったりしたわけですが、Grouponも研究対象に入るようになってるんだなぁーと非常に興味深く読みました。

2の話などはクーポンサービスには当然詳しい@mikiya_4822さんに詳しく伺いたいところ。

そういえば、これを読みながら山崎元さんの本を読んだときに、「論文レベルの知識がないと差別できる知識とはいえない」という言葉があったことを思い出しました!
おそらく社内からそんなものにアクセスできるデータベースがない場合、図書館とかから論文データベースへのアクセス及びダウンロードってできないんでしょうか。(無料で)どなたかご存知の方、教えていただければ幸いです。


【参考】
5 Interesting Observations on the Groupon Model from Academic Research



※こちらの記事はTMHブログポータル(http://www.tribalmedia.co.jp/blog/)の方にも転載いただいております!
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