27 May, 2011

マーケティング再考:"Likenomics"な時代





Oglivy上級副社長、Rohit Bhargava氏(@rohitbhargava)が”Likenomics”という概念で、これからの時代のマーケティングやコミュニケーションのあり方を述べている記事を発見したのでご紹介。
(とはいえ、弊社社長の池田さん(@ikedanoriyuki)がいつも言われていることとかなり被るのですが。)

PRやマーケティングのためのメッセージが日々大量に届く現代において、消費者はそれらに対して過敏になり、信用をすっかり失ってしまっており、まさに「Believability Crisis(信頼が危機にさらされている)」状態にある、とRohit Bhargava氏は言います。

そんな中でこれから重要となるのは、「Affinity(共感や親しみ)」であり、私たち(マーケターやPR担当)がそれらを正しく理解することは失った信頼を取り戻すために非常に重要なことです。

そして、Bhargava氏の提唱する"Likenomics"とは「最も好意を集める人々やアイデアや組織が人々が信頼し、元気をもらう存在となる新たな経済体系」のこと。

では、どのようにすれば、そのような好意をうけるような存在になれるのか。Bhargava氏は「シンプルであること」、「人間味があること」、「正直であること」、「感情に訴えること」の4つを挙げ、それらが”Likenomics”の基盤となっていると述べています。

それぞれについて以下、解説。

1. シンプルであること

Bhargava氏は、”Be genuine, be honest, be open(誠実に、正直に、オープンに)”であることの価値はソーシャルメディアによってますます高まっていると説明しています。

そして、そんな事例として挙げていたのが、Alley Bankという金融機関。金融という人を欺くことが常態化している業界において、「まっすぐ、腹を割って」顧客と向きあうという姿勢をシンプルに示しています。




2. 人間味があること



関係性を作る上で、人間味が感じられるというのは非常に重要なことです。(そして非常に難しい。)
そんな中、先進的な取り組みをしているのがイギリスの飲料メーカー、Innocent。Innocentは毎年、ファンからスムージーの蓋部分にかぶせるニット帽子をファンから募集し、ひとつの帽子が送られてくる毎にイギリスの老人たちが温かい冬を過ごせるようサポートを行う『Big Knit』という取り組みを行っているのだとか。


3. 正直であること

2009年の調査で、最もファンから嫌われてしまっていたドミノ・ピザは、そのドミノ・ピザを嫌う人々にスポットを当てたキャンペーン『Domino’s Pizza Turnaround』を実施。そして、生の批判を元に新たなピザの開発に着手したとのこと。



1ともかぶりますが、信頼は正直さなしには成立しません。


4. 感情的であること



ノルウェーの大富豪、Christian Ringnesはミニチュアボトル収集で集めた品を展示するミュージアムを作った。それが他の人にとっては意味不明なことであると気づいたRingnesは、周りの目を気にするのではなく、むしろ自分のやりたいことを追求することで同じような趣味をもつ少数の人を魅了することになった。

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どの事例も非常に素敵なもので読んでいて暖かい気持ちになる記事でした。

日本において、上記のことをまさに実践している事例として、僕が知っているのが、伊藤ハムの『ハム係長』さん。



Facebookページ(『伊藤ハム / ITOHAM FOODS inc. (1)』)から始まったというそのキャラクターは、そのウィットと人間味に富んだ投稿で人気を呼び、3,000人規模の日本のFacebookページとは思えないほどウォール投稿で賑わっています。

さらには、そのキャラクターをモチーフにしたお弁当(キャラ弁)などもファンの方から作られていたり。(→『ハム係長弁当  その①ハム係長のひみつ? 飾り切り 椅子 « e-お弁当作っちゃいました!』)

こういったコミュニケーションが一般化すると、非常に暖かい社会になるのではないかと思ったり。

また、これらは個人にも適応できそうなので、僕もお手本にしたいところです:)

Bhargava氏のスライドは以下。
Likeonomics: The Book
View more presentations from Rohit Bhargava


【参考】
HOW TO: Make Your PR & Marketing Believable

Kenichi Nishimura (@nike1125)をフォロー

※こちらの記事はTMHブログポータル(http://www.tribalmedia.co.jp/blog/)の方にも転載いただいております!
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